ニュージーランドにおける相続手続きが発生する原因
ニュージーランドは、地図上はオーストラリアの右下に位置している国です。
日本に似た島国で、大きく北島と南島に分かれています。北島の主な都市は、首都ウェリントンやオークランドで、南島の主な都市はクライストチャーチやクイーンズタウンなどです。 ニュージーランドの人口の四分の三は北島で暮らしており、最も人口が多いのは、オークランドでNZ経済の中心になっています。
そして、気候も温暖で、四季の変化もあることから、日本人で老後に移住する方も多く、その結果、ニュージーランドの不動産や銀行預金の相続が発生することがあります。
また、ニュージーランドドルは比較的金利が高い通貨のため、日本に居住しながら銀行口座を開設し、金利や為替差益を得ることを目的に定期預金をする方も多いです。
そして、死亡後に遺族の方が残高証明書等を見つけ、相続手続きが必要なことに気づくというケースもあります。
ニュージーランドの相続手続の方法
日本の場合、遺言がない場合、遺産分割協議で相続財産の分配を決定するのが原則です。
しかし、ニュージーランドでは,アメリカやオーストラリア等で採用されている遺産に係る代理人(以下「遺産代理人」といいます)を裁判所に任命してもらう「プロベート」という相続手続が必要です。
ここにいうプロベートとは、遺産代理人を裁判所に任命してもらう手続のことをいいます。
プロベートの手続は遺言執行人もしくは近親者等によって行われます。
ただし、NZ高等裁判所に提出する書類が専門的であり、また特定の書式が求められる等の理由から個人で手続きをニュージーランドの弁護士に代行を依頼して手続を進めるのが通常です。
また、日本からも相続人に関するたくさんの資料の提出が必要ですので、国際相続の場合は、かなり難易度は高いといえるでしょう。
ニュージーランドにおけるプロベートの手続き
では、ニュージーランドにおけるプロベートの手続は、誰が、どこに対して行うのでしょうか?
ニュージーランドでは、遺言で指名された遺言執行人(遺言がない場合は近親者等)が、故人の住所に最も近い(故人がニュージーランドに住んでいない場合には遺産がある場所に最も近い)高等裁判所に対して行います。
そして、裁判所から任命された遺産代理人は、まずは遺産の中から葬式の費用、税金、負債等を支払います。そして、残額があればそれを遺言に従って(遺言がない場合には法律に従って)相続人に財産を分配します。
ニュージーランドの相続における法定相続分
ニュージーランドでは遺言がない場合でもプロベートは必要ですが、争いがなければ遺産は法定相続分で分配されることになっています。
そして、ニュージーランドにおける法定相続分に関する主な規定は次のとおりです。
①配偶者(パートナーを含みます。以下同じ)あり,子供あり
配偶者:①すべての家財+②NZD155.000+③遺産(左記の①、②を分配した残り)の1/3
子供:上記の③遺産の2/3
②配偶者あり,子供なし,両親あり
配偶者:①すべての家財+②NZD155.000+遺産(左記の①,②を分配した残り)の2/3
両親:上記の③遺産の1/3
③配偶者あり,子供なし,両親なし
配偶者:すべての遺産
④ 配偶者なし,子供あり
子供:すべての遺産
⑤ 配偶者なし,子供なし,両親あり
両親:すべての遺産
このように、日本の法定相続分とは大きく異なっていますので、注意が必要です。
ニュージーランドの相続税
ニュージーランドには相続税はありませんが、遺産から生じる所得(インカムゲイン)に対しては所得税がかかります。ですから、例えば遺産の分配までに数年かかるようなケースにおいては遺産代理人は遺産を分配するまでに遺産から発生した所得に関する確定申告をしなければなりません。
また、ニュージーランドで相続税がかからなくても日本で相続税がかかる場合は少なくありませんので、日本での相続税の申告も忘れないようにしてください。
当事務所のサポート
先述のように、ニュージーランドの銀行預金の相続や不動産の相続には日本の相続に比べると、かなり難易度が高く、大幅に長い時間と費用がかかります。
そのため、相続人が頑張っても、途方に暮れてしまい、放置してしまうケースがとても多いです。
でも、ご安心ください。
当事務所では、ニュージーランドの相続手続きでお困りの方のため、ニュージーランドの弁護士と協力し、相続手続き代行のサポートを行っております。
BNZ銀行の相続手続き、ANZ銀行の相続手続き代行の他、ASB銀行、Westpac銀行、Kiwibank等も対応可能です。
このサービスを利用することで、相続人の方々にニュージーランドの資産を相続させ、日本に戻すことが可能になります。
ニュージーランドの相続手続きでお困りの方は、どうか一人で悩まず、お気軽にご相談ください。